領事情報

令和6年5月31日

安全の手引き

● はじめに

 アイルランドにおいては、繁華街や観光スポットを中心とした窃盗犯罪や粗暴事案、住宅地における家宅侵入等が高い水準で発生しているほか、ダブリン市内及び近郊では、ギャング組織間の抗争とみられる銃撃・殺人事件や、不良少年グループによる暴力事件が発生しています。2018年1月には、ダンドーク市の路上において、同市に住む邦人男性が刺殺される事件が発生しています。
 欧州においては、様々なテロ事件が発生し、多数の犠牲者が出ています。これらの事件の被害に遭ったり、巻き添えになったりしないよう十分注意して下さい。 
 こうした治安事情も踏まえ、「安全の手引き」を改訂しましたので、参考にして下さい。また、当館は在留届を提出された皆様に海外安全情報を電子メールにて随時送信しています。
 一人一人が防犯意識を持ち、対策を講じることが重要です。
 
● 防犯の手引き

I 防犯の基本的な心構え
1 自分と家族の安全は自分たち自身で守る、犯罪者のターゲットにならないようにするとの心構えを持ち、万一の場合に常に備えながらも、冷静に行動する。
2 単身赴任や家族帯同にかかわらず、着任当座のホテル選びやその後の住宅選びは安全性も十分考慮する。
3 行動の三原則
(1)目立たない
(2)行動をパターン化しない(路上強盗や誘拐対策)
(3)用心を怠らない
4 現地社会に早く溶け込むよう努め、近隣住人と情報交換する。
5 新聞、テレビ、当館ホームページ等により常に最新の治安情報を確認する。
 
II 犯罪発生状況
1 アイルランドにおける2023年の犯罪総件数は減少傾向にあるものの、窃盗は前年比約1万件増加の約7万2,000件、詐欺は減少傾向にあるものの、約1万件と高水準で推移しているほか、恐喝や暴行・傷害は増加した。また、インターネット利用した特殊詐欺は依然として多数発生している(発生件数の詳細は、以下のアイルランド中央統計局ウェブサイトご参照)。
https://www.cso.ie/en/statistics/crimeandjustice/recordedcrime/

 
III 防犯のための具体的な注意事項
1 住居
 侵入窃盗犯は、下調べをした上で犯行に及ぶとされる。狙われやすいのは、一戸建て、アパートの地上階及び最上階、侵入警報装置が無い家、留守の多い家、高齢者のみが居住する家、来客の少ない家、夏休みやクリスマス等の時期に長期不在の家等であり、人目につきにくい裏庭の窓や裏口の扉の鍵を破壊して侵入するケースが一般的である。

(1)以下のような地域や物件は治安上の問題があるので避けた方が良い。
○ ゴミの散乱、落書きが見られる。
○ 店舗に鉄格子が設置されている。
○ 大人や少年がたむろしている。
○ 庭の手入れが悪い家が多い。
○ 表通りから見えない、家の入口や周囲が樹木に覆われて死角が多い。
○ 夜間、家や周辺の照明が十分でない。
○ 家賃等が相場よりもかなり安い。

(2)以下の点において問題のない地域や物件であることを確認する。
○ 不動産業者の信頼性
○ 物件やその周辺で犯罪が発生していないこと
○ 警報装置の設置、警備員の配備
○ 玄関・駐車場の管理
○ 来訪者の確認手段(インターフォン、玄関扉ののぞき穴等)
○ 郵便受けの施錠の有無

(3)入居後の注意点は次のとおり。
○ 鍵・施錠
・ 可能であれば、玄関ドアや各部屋の鍵を交換する。
・ 確実に施錠する。オートロックの玄関ドアであっても必ず内側からも施錠する。
・ 警備会社と契約し、アラーム等の機械警備を実施する。
○ 住居への出入りの際の対策
・ エレベーター乗降時は、周囲に不審者がいないか注意する。
・ 要すれば、夜間、一定時間ごとに点灯するタイマー機能付き照明器具を道路に面した部屋に設置する(又は部屋の照明をつけたまま外出する)。
○ 避難部屋
・ 緊急時に避難する部屋を決めておき(ドアが厚い主寝室など)、固定電話の子機を設置し、いざという場合は、部屋に閉じこもり警察に通報して救助を待つ。
○ 来訪者等
・ ドアスコープ等から確認する。IDや社員証の提示を求める。
・ 予期していない来訪者に対し、むやみにドアを開けない。
○ 緊急時の連絡先リストを備えておく。
○ 隣人やアパートのガードマンと良好な関係を築き、留守にするときは一声かけるなど防犯に協力しあう。
○ 自宅周辺で辺りをうかがう不審な人物や低速度で巡回する車両に注意を払う。見かけた場合はよく用心して、状況により警察に通報する。
○ 郵便物が窃盗され、個人情報がカード詐欺などの犯罪に悪用されることのないよう郵便受けを施錠し、重要な郵便物はそのお送付先を勤務先に指定するなどの予防措置を講じる。
○ 貴重品や高価な電化製品が外から見えないようにする。
 
2 外出時
(1) 全般
○ 目立たないこと(派手な服装、目立つ行動、ブランドもののバッグ、最新型のスマートフォン、高価な自動車は犯罪者の標的となる)。
○ 携帯電話と緊急連絡先電話番号を常時身につけておく。
 
(2) 通勤・通学路、外出のルート
○ 安全なルートを常に選択し、随時変更する(予測可能な行動パターンの回避)。
 
(3) 自動車に関する注意事項
ア 車上狙い対策
 路上駐車のほか、観光地、ショッピングモールやホテル等の駐車場でも発生している。
○ 短時間の駐車でも必ずドアロックし、外部から見える所にバッグ、財布、携帯電話等の貴重品を放置しない。
○ 荷物を車内やトランクに入れるところを見られないようにする(見られているという意識を持つ。)。
○ ドライブレコーダーを取り付ける。
イ 自動車盗難対策
 不良少年らが車両を盗み、暴走行為で壊し、放置又は焼棄する事案や、犯罪組織が逃走車両として利用するために窃取する事案が発生している。信号で停車中に追突され、降車したところで車を強奪されるケースもある。
○ 自動車用盗難警報装置(アラーム)を設置する。
○ 要すれば、ハンドルやブレーキペダル、ギア等を固定する器具も設置する。
○ 駐車は、安全かつ夜間は明るい場所にする。路上駐車はできるだけ避ける。
○ 乗・降車時、周囲に不審な人物がいないか注意する。
○ 盗難をカバーする保険に加入する。
○ 空き巣犯が、家屋内で鍵を捜し出して車両を盗むケースもあるので、鍵の保管に注意する。
ウ 運転中の注意事項
○ 乗・降車前に周囲に不審者がいないか確認。
○ ドアに不審なワイヤー、物体等が付着していないか確認。
○ 周囲や前後の状況に注意する(自分で運転していない場合も同じ)。
○ アジア食品店の駐車場から自動車で追跡される不審事案もあるため、追跡されていると感じたら、警察署や人通りの多い場所に避難する。
○ 渋滞や信号待ちで停車中にドアを開けられ、または窓ガラスを割られ、一瞬の隙にバッグ等を盗まれる事案も発生しているため、運転中もドアを常に施錠し、窓は開けない。
○ 普段通行する道路上で、緊急時に逃げ込める場所をあらかじめ把握しておく。
 
(4)スリ・ひったくり・置き引き・路上強盗
ア 主な発生場所・時間帯
○ ダブリンの中心的な繁華街であるオコンネル通りやグラフトン通り及びそ の周辺、テンプルバー地区などの表通り、裏通り
○ ホテル、空港、ショッピングモール、レストラン、パブなど不特定多数の人が利用する施設、バス、電車等等の公共交通機関内等
○ ギネス・ストアハウスやフェニックス・パークなどの観光施設等
○ 昼夜を問わず発生している。特に夜間は、絶対安全と言える場所はない。
イ 主な手口
○ 徒歩、自転車又は車両で後ろから近づき、追い越しざまにバッグやスマートフォンをひったくる。
○ 一人が声をかけるなどして注意を引きつけている間に、仲間がバッグや財布等を盗む。
○ 人混みに紛れ、背負っているリュックサックから財布等を抜き取る。
○ レストラン等で離席した際にテーブルの上に置いた貴重品や椅子に置いた上着やバッグ等を持ち去る。
○ ホテル、空港等での手続中に足下のバッグ等を持ち去る。
ウ 対策
○ 日中でも決して油断せず、周囲の状況に注意する。
○ 不良グループ等不審な人物を認めた際は、目を合わせることなく速やかに離れる。
○ じろじろと見られたり、尾行される等の不審な兆候があれば、近くのレストランなど多数の人がいる場所に入る。
○ 路上等で貴重品を見せない(犯罪者は、人が財布等の貴重品をどこにしまうか確認して盗む機会をうかがっている。)。
○ ATMはなるべく屋内設置のものを利用し、屋外設置のものを利用する場合には、周囲に人(不審者)がいないことを確認の上、なるべく日中に利用する。
○ バイク等によるひったくり防止のため、歩道を歩く際は壁側の手でバッグを持つ。
○ ひったくりに遭った際、無理に抵抗することなくバッグを手放す(転倒して負傷するおそれがある。)。
○ すり被害防止のため、リュックは前に抱える。
○ 現金、カード等は二つ以上の財布に分散する。必要な額、使用するカードのみ携行する。
○ 地図やガイドブックを見せない(旅行者とみなされ、狙われるおそれがある。)。
○ 人目に付く場所で携帯電話やスマートフォンを使用しない。やむを得ず使用する際は、周囲を警戒する。
○ 歩行中はイヤフォン等を使用しない(周辺の異常に気づきにくくなるおそれがある。)。
○ 下記のように声をかけられて注意を引きつけられている隙に、声をかけてきた者の仲間がバッグや財布等を窃取するケースがあるので、知らない人間を相手にせず、荷物を手に抱えて速やかに立ち去る。
・ 服が汚れていると声をかけてくる。
・ アイスクリーム等を持った相手がぶつかってきて、服を汚す。
・ 地図を広げて、現在地や目的地を聞いてくる。
・ 路上にコインをばらまいたり、瓶を落として割ったりして、注意を引きつける。
○ レストラン等では、テーブルや椅子に貴重品及びこれらの入った上着やバッグ等を置いたまま離席しない。離席する場合は空席とならないよう同行者と交替で離席するか、貴重品をすべて携行する。
○ ホテルフロントや空港等での手続中は、荷物の警戒を怠らない。
○ 帰宅が遅くなる場合は、家族・知人に迎えに来てもらうか、公共交通機関を利用する。
○ タクシーは、タクシー手配アプリの利用や信頼できる業者への電話で手配する。深夜の単独乗車は避ける。
エ 被害に遭った場合
○ 安全を第一に考え、抵抗したり、大声を出したり、犯人を追いかけたりせず、躊躇せずに金品を渡す。
○ 速やかに警察に通報する。警察、救急車とも999又は112
○ 負傷した場合は何よりもまず落ち着いて、けがの応急処置、救護の要請を行う。
オ ニセ警察官による(職務質問を装った)窃盗
○ 当地の制服警察官は、肩や胸にIDを表示しているので、しっかりと確認する。
○ 私服警察官から職務質問を受けた場合は、相手の身分証やID等をしっかり確認した上、警察に連絡して、本物の警察官であることを確認する。
○ 当地の警察官が、職務質問の場で、反則金や罰金名目で現金を要求することはない。金融機関での振込を指示された場合でも、振込先が正規の公共機関であることを確認する。

3 インターネットや携帯を利用した特殊詐欺
(1)主な手口
○ メールやテキストメッセージによる詐欺
 大手銀行、携帯電話会社、郵便・配達業者などを装い、当該口座や取引等に問題が発生したなどという内容のメールやテキストメッセージを相手に送りつけ、すぐに処理の手続をするよう促す手口が多い。添付された偽サイトへのリンクから個人情報やクレジットカード番号等の入力、振り込み送金を指示され、精巧に作られた偽サイトは、一見して公式サイトと同じように見える。
○ 架電による詐欺
 行政機関や警察を名乗り、行政手続、漏えいした個人情報の保護、捜査や罰則金支払いなどの理由で、個人情報や口座情報等を聴取したり、犯人の口座への送金を指示する。電話を切ろうとすると、「電話を切れば違法行為となり、高額な罰金が課される」等と虚偽の申し立てで脅し、通話を継続させようとする。
※ 犯人の中には、実在する警察署の電話番号に酷似した番号を使用したり、着信表示が警察署の実際の番号や警察署などと画面に表示されるように細工したりしている場合がある。

(2) 対策
○ 「自分は大丈夫。絶対に騙されない」と過信せず、うまい儲け話を信用しない。
○ 送金する前に周囲に相談し、同様の手口での被害情報がないかなど、よく確認 する。
○ 身に覚えのないテキストメッセージやメールには返信しない。また、心当たりがあっても、そのメール等に記載されたURLリンクにアクセスすることなく、自分で把握している相手先の電話番号や公式サイトに記載されている連絡先に連絡するなどして事実確認する。
○ 当地の銀行や郵便局が、メール添付のリンクを利用して送金を求めることはな いと明言しており、送金・配送手続等に不安がある場合には、当該機関に直接連絡するか、公式サイトを利用する。
○ 犯人が「時間がない」等と何かしらの理由をつけてすぐ振込むように焦らせてきても、慌てず冷静に行動する(架電の場合、何を言われても一旦電話を切ることも効果的)。
 
4 薬物・銃器犯罪
(1) 傾向
○ 大麻やコカインの使用は、深刻な社会問題の一つ。
○ 警察が取締りを強化しているが、薬物・銃器取引に関連するギャング組織の密売人同士の抗争が依然頻繁に発生している。
 
(2) 対策
○ 薬物には絶対に手を出さない。
○ 見知らぬ人から荷物を預からない。荷物運搬の依頼は断る。(知らないうちに薬物を運搬し、逮捕されるケースがある。)
 
※ 当地治安機関からのお知らせについては、以下のAn Garda Siochana(アイルランド国家警察)ウェブサイトご参照。
https://www.garda.ie/en/crime-prevention/crime-prevention/


5 交通事情
(1) 運転免許証
・ 通常、日本の運転免許証所持者がアイルランドで自動車を運転する場合、渡航前に日本で国際運転免許証を取得する必要がある。
・ 入国後に日本の運転免許証からアイルランドの免許証に切り替える場合は、在 アイルランド日本国大使館において日本の運転免許証の抜粋翻訳証明の発給を受けた後、国家運転免許サービス(NDLS)に申請する。切替手続きの詳細は、以下のNDLSウェブサイトご参照(切替対象者:アイルランドに1年以上滞在(予定)の方)。
https://www.ndls.ie/
 
(2) 交通ルール
・ 日本と同じ左側通行。
・ 住宅街は丁字路や行き止まりの道路が多いが、標識は比較的整備されている。
・ 信号のない交差点では右側からの車両が優先(YIELDの標識)。
・ 郊外の交差点はラウンドアバウトと呼ばれるロータリー式が多い。
・ シートベルト着用は乗車するすべての者に義務づけられている。
・ 12歳未満又は身長150センチ以下の児童はチャイルドシートの着用が義務づけられ、助手席への乗車は禁止。
・ 踏切での一時停止は、標識のない場所では不要。一時停止すると追突される原因にもなるので注意。
・ 速度違反や飲酒運転の取り締まりは、近年強化されている。
・ 標識の表示位置が日本より低く、信号機の直進表示は緑矢印灯だけの場合もある。
・ 工事や故障・停電などのために信号が点灯していないこともある。
・ 片側2車線以上の道路ではバス専用レーンが設定されていることが多く、標識に示された時間帯は、一般車両はバス専用レーンを通行できない。
・ 道路左側端に黄色二重線が付されている範囲は、路上駐車禁止。
 
(3) 運転マナー
・ 通勤時間帯を中心に、交通量が多い幹線道路であっても、横断歩道のない場所を平気で横断する歩行者が多く見られる。
・ 自転車や電動スクーター利用者も車道を走行するため注意が必要。
・ 国内で購入した自動車は、日本と同じ右ハンドルであるが、ウィンカーレバーは左側、ワイパーレバーは右側であり、日本とは反対になっている。
・ 路上駐車が多く、自転車や対向車両がはみ出して走行することが多い。
 
(4) 交通事故発生時の措置
・ 直ちに警察(負傷者がある時は救急車も。電話999又は112)に通報し、警察・救急車が来るまでの間に目撃者を確保する。実況見分をしてもらい、後に事故を証明できるよう備えるとともに、事故の相手側の氏名、住所、電話番号、車種、登録番号、保険会社名を控えておく。
・ 警察・救急車の到着まで時間を要する場合があるので、三角反射板等を設置し、安全な歩道上で待機するなど、二次事故の発生防止に努める。
 
6 テロ・誘拐対策
 海外安全ホームページの「テロ・誘拐情勢」ご参照。
 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_151.html
 
7 緊急時の連絡先
(1) 警察・消防・救急 999 または 112
(2) 在アイルランド日本国大使館
    休館日は以下の当館ホームページ参照。
    https://www.ie.emb-japan.go.jp/itpr_ja/taishikan.html
    代表電話     +353-(0)1-202-8300
    代表FAX       +353-(0)1-283-8726
    領事班E-mail   consular@ir.mofa.go.jp
※ 緊急を要する場合は、夜間や土・日などの閉館時間であっても、代表電話に架電すれば夜間対応業者に転送される仕組みになっている。
(3) 外国人犯罪被害者向け支援サービス(アイルランド国家警察委託組織)
    Tourist SOS (英語対応のみ)
    月曜日~土曜日 10am-6pm
    日曜日・祝日   12pm-6pm
    Tel: +353 (0)1 661 0562
    WhatsApp: +353 (0)87 47 69 402
    E-mail:  info@touristsos.ie
    ウェブサイト: www.touristsos.ie
    住所1: O’Connell Street Garda Station, Dublin 1, D01 EF98
    住所2: Pearse Street Garda Station, Dublin 2, D02 W289

 緊急事態対処マニュアル

1 平素の準備と心構え
(1)家族間・友人間・勤務先等との連絡方法、連絡網を日頃から準備する。携帯電話は充電しておく。
(2)アイルランドでは、緊急避難場所の指定はない。家族等と緊急時の集合場所を決めておく。
(3)非常用の食料・水・医薬品などを準備する(最低3日分)。
(4)旅券・現金はいざという時にすぐ持ち出せるようにする。
(5)自動車は定期的に整備し、燃料を補充する。
 
2 緊急時の行動
(1)本人、家族、同僚を含め、在留邦人の生命、身体、財産に危害が及んだ場合又はその恐れがあるときは、警察に通報するとともに、日本国大使館に連絡する。
(2)政府や警察当局の発表や信頼が置ける報道機関からの情報収集を心掛ける。平静を保ち、噂話やデマに惑わされないようにする。
(3)緊急事態の蓋然性が高まった場合、基本的には外出を控え、当局の指示に従うとともに、これから取るべき行動に備える。
(4)国外退避しなければならない状況が発生した場合は、各人の判断でとりあえず航空券を予約する。また、空路による退避が困難な場合は船の予約も選択肢となり得る。
 
3 緊急事態に備えてのチェック・リスト
(1) 旅券
○ 旅券については、6か月以上の残存有効期間があることを常に確認しておく。
○ 旅券の最終頁の「緊急連絡先」は漏れなく記載する。
○ 旅券と併せ、IDカードはいつでも持ち出せる状態にしておく。なお、出国や再入国の許可を常に有効な状態としておく。
 
(2) 現金、携帯電話、銀行カード、クレジットカード、貴金属、保険証書、有価証券等
 緊急時にすぐ持ち出せるよう保管しておく。ただし、10,000ユーロ相当以上の現金・小切手類のEU圏内への持ち込み及び持ち出しには、税関申告が必要。
 
(3) 携行品の準備
 次の携行品をすぐ持ち出せるようにしておく。重量等については、携行や飛行機 に預けることも念頭に置く。
ア 衣類・着替え(長袖・長ズボンが賢明。行動に便利で、人目を引くような華美でないものが望ましい。)
イ 履き物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの)
ウ 洗面用具
エ 非常用食料、ミネラルウォーター等
オ 医薬品類
 常備薬、常用薬(必要に応じて医師の薬剤証明書(英文)も用意)、救急キット(外傷薬、消毒薬、衛生綿、包帯、絆創膏など)、マスク、ビニール袋、衛生用品等
カ スマートフォン、携帯ラジオ等
 インターネットやNHK国際放送を通じ、外務省・日本国大使館が安全情報を伝達する場合がある。
キ その他
 懐中電灯、予備のバッテリー、ライター、ローソク、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、使い捨て食器、割り箸、固形燃料、簡単な炊事用具、ヘルメット、防災頭巾(応急的に椅子に敷くクッションでも可)等
 
4 在留届の提出
(1) アイルランドに3か月以上滞在する邦人は、在留届の提出が義務づけられている(旅券法第16条)。外務省ホームページ(ORRnet:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html ) から提出するほか、利用環境等の理由によりオンライン手続が困難な場合は、来館、郵送、E-mailなどで在アイルランド日本国大使館に提出することも可。 (2) 在留届の提出により、緊急時にはメールによる通知や迅速な援護が受けられる。提出されていないと安否確認や留守宅への連絡が困難になる。
(3) 在留届は、提出者のプライバシーを守るため、公表されない。また、管理は厳重に行われる。
 
(4) 帰国または転居の際の届出
 アイルランド国内での転居、帰国(第三国への出国を含む)、家族の呼び寄せ、出産、所属先・職場の変更など、記載事項に変更があった場合は、帰国・転出届や変更届の提出が必要。在留届の提出をオンラインで行った場合に限り、帰国・転出届や変更届の提出もオンラインで可能。また、来館、郵送、E-mailなどで在アイルランド日本国大使館に届け出ることもできる。