駐アイルランド日本国大使からの手紙(令和7年12月)

令和7年12月26日
在アイルランド日本大使館から観る満月(令和7年12月撮影)

拝啓、 

年の瀬となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年1年は、どのような年でありましたでしょうか。おかげさまで、1126日にアイルランドに到着して以来、私は、新たな任務の開始を実感しながら、挨拶回りにいそしんでいます。アイルランド外務貿易省、当地外交団、日アイルランド双方のビジネス、芸術、教育関係者、日本大使館の同僚のおかげであり感謝申し上げます。

ダブリン市内の郵便ポスト(令和7年12月撮影)
アイルランドの朝焼け(令和7年12月撮影)

 今月の最も衝撃的なニュースは、豪州ンダイ・ビーチでの悲劇でした。私は、シャンテラ・テイラー駐アイルランド豪州大使を訪ねて、日本を代表して哀悼の念を表し、御遺族への気持ちをお伝えしました。いかなる動機や目的であっても、暴力は決して許されるものではありません。 

 

さて、我々日本大使館員の任務は、日本とアイルランドの関係の一層の発展、そして約3,000人のアイルランドに住まわれる日本人の方々の安全と安心の確保です。この1月間、両国の様々な分野の人々とお話しする中で、いくつか印象に残ることがあります。 

まず、アイルランドの方々の親切さと日本に対する関心です。これは、両国の外交関係の樹立は69年前ながら、さらに遡っての交流の積み重ねがある故のことかと想像します。今月、TG4で放映されたドキュメンタリー「Gradam Ceoil TG4 @ Expo25」では、EXPO2025大阪関西万博での両国の音楽交流を紹介していました。時として音楽は人と人の間の距離を劇的に縮めることがあると思います。私は、アイルランドのキャシー・ジョーダンさんのゲー語と、沖縄の古謝美佐子さんの島くとぅばでのデュエットに心打たれました。お二人の心と心が確かに出会うのを感じました。また、ダブリン市内の教会で開催された、Cor Linn合唱団及びFabre合唱団による公演をお聞きして、心が洗われるような気持ちになると同時に、アイルランドの方々の親切さがどこから来ているのか、その一端を垣間見たように感じました。 

在アイルランド日本大使館にて撮影。カレン・ラドック・ポストプライマリー・ラン ゲージ・アイルランド所長(中央)、筆者(左)、中田啓子一等書記官(右)
 日本に対するアイルランド人の関心はさまざまなようです。中でも私が、とても嬉しく感じることは、長年にわたり継続してきた、両国間の人的交流が我々の関係を豊かにしていることです。例えば、日本政府が実施してきたJETプログラムには、アイルランドから多くの若者が参加し、日本各地で暮らし、帰国後も日本に対する関心を維持し、中には日本事情や日本語を教え、日本関連の職場に就く方もおられることです。19世紀末に、アイルランド人の父を持ち、少年時代をアイルランドで過ごした小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、日本に住み、日本文化を欧米諸国に紹介したことは、日本ではよく知られています。秋から放映されているNHKの朝ドラ「ばけばけ」は、小泉八雲の妻、セツの目を通じて明治時代の日常が描かれていますが、現在の日本とアイルランドの若者交流は、セツと八雲の時代から紆余曲折も経ながら脈々と継承されてきたものと思われます。 
ダブリンの狐(令和7年12月撮影)

最後に、来年に向けて一言申し上げます1月に私は、天皇陛下発キャサリン・コノリー大統領宛の信任状を捧呈する予定です。とても名誉ある機会です。2月7日、日本大使館領事は、ゴールウェイに出張して、1日領事サービスを実施します。在外選挙、在留届、戸籍・国籍関係、証明、旅券手続などをご利用いただけます。私もアイルランド国内をくまなく訪れ、日アイルランド双方の方々とお会いし、お話をうかがい、意見交換できる機会を心より楽しみにいたします。  

れでは、また来月、アイルランド国内のどこかで、またはこのページでお会いできることを楽しみに、ご自愛のほどお祈り申し上げます。よいお年をお迎えください。 

 

敬具 

宮川学 

駐アイルランド日本大使