駐アイルランド日本大使からの手紙(1月)「1月のアイルランド」

令和8年1月30日
キャサリン・コノリー・アイルランド大統領への信任状捧呈(令和8年1月13日撮影)
ピーター・マクミラン氏と百人一首を行う地元ユニバーシティー・カレッジ・ダブリンの学生たち(令和8年1月22日、日本大使公邸にて撮影)
駐アイルランド大使からの手紙(1月)
拝啓
大寒の候、いかがお過ごしでしょうか。ダブリンは雨が降ったり止んだりです。筆者は、3年間の沖縄勤務の直後ということもあり、アイルランドの冬に身を慣らすべく試行錯誤中といったところです。何人かの知人から、寒中水泳を勧めていただきましたが、次の冬までお預けかなと思います。
本年最初の月。皆様も、お仕事やご友人とのおつきあいなどを通じて、日本とアイルランドの間で、さまざまな往来や交流があったかと拝察いたします。筆者の身の回りでも色々ありました。元旦には、ダブリン市内のガーディアン・エンジェル教会にて、世界平和の日を祈る礼拝が行われ、厳かな気持ちで参列いたしました。デルモット・ファーレル司教の挨拶の中で、世界各地で継続中の紛争の早期終結を祈り、そしてアイルランドの歴史を振り返り、1998年のグッド・フライデー合意(ベルファスト合意)について触れたくだりを聞きながら、平和の意味を改めてかみしめるスタートとなりました。参列者の大多数は地元の方々であったので、筆者も30年以上前に、英国ウェールズの教会の礼拝にウェールズの友人家族と一緒に出かけた時のことなど思い出しながら、頭を垂れました。
今月半ばには、アイルランド大統領官邸にて、天皇陛下からキャサリン・コノリー大統領への信任状を捧呈いたしました。冒頭、大統領が、昨年逝去された島田順二・前駐アイルランド大使への弔意を表された時は、島田大使の同期でもある筆者は式典中にもかかわらず、思わず目頭が熱くなりました。その後、大統領は、終始笑みを絶やされず、自らの御言葉で、最近の日本とアイルランドとの関係の顕著な発展について述べられ、また、来年の両国外交関係樹立70周年を楽しみにされている旨発言されました。幸運なことに、この式典の8日後に、大統領は、アイルランドに勤務する全ての国の大使を新年レセプションにお招きいただき、再度ご挨拶申し上げる光栄な機会にも恵まれました。信任状の捧呈は、昔から外国から着任した大使が最初に参加する儀式です。新大使が、元首から元首への書面を手交することで、それまでは次期大使として接受されていた者が、大使として正式に全面的な活動を開始することが許可される節目でもあります。早くに着任した大使から順番に、式典の日程が告げられます。日本の前は、ベトナムとスロベニアで、両国大使は昨年12月に信任状捧呈式典を終えました。昨年秋に大統領に就任したコノリー大統領が接受された最初の外国大使です。日本は、コノリー大統領が接受した3カ国目。パキスタンと同じ日の式典となりました。
年の初めを飾る今月、両国の双方向の若者交流も活発でした。1月初旬には、アイルランドを訪問中の札幌西高校の生徒たちが日本大使館を訪れ、1時間半にわたり、アイルランドでのホーム・ステイや訪問先の印象、札幌の高校での部活動や将来行ってみたい外国などについて、たくさん語り、また、筆者と大使館員と日アイルランド関係などについて自由に意見交換しました。お聞きしたところ、西高のアイルランド訪問は、18年目だそうです。素晴らしい!
また、月末には、日本大使公邸において、地元のアイルランド人中学生及び大学生をそれぞれお招きして、アイルランド生まれのピーター・マクミラン氏に百人一首大会を開いていただきました。マクミラン氏は、百人一首を英訳し、1万セットのカルタを作り、日本文化を世界に紹介してきた方です。最近は、「シン・百人一首」を出版し、原文、現代語訳に加えて、超訳の3本立てで、百人一首を解説しています。マクミラン氏が、古から現代への時空を越えて言霊が飛んでいく様を縦横無尽に言葉に置き換えていく姿には、一種畏敬の念を覚えます。
令和8年。皆様は、本年の抱負を漢字一文字で表すとすると、どんな漢字を想像されますか。筆者は、アイルランド(愛蘭土)の愛で行こうと思います。これからアイルランド国内を広く訪ね、アイルランドの方々と相まみえながら、先人たちが紡いできた両国関係を一層豊かにできるよう、日々過ごしていければと思います。
来週から2月。2月7日、日本大使館は、ゴールウェイにて領事出張サービスを予定しています(本30日が申し込み締め切りです)。来月もアイルランドのどこかで、またはこの紙面にてお会いできることを楽しみに。ご自愛のほどお祈り申し上げます。
敬具
駐アイルランド日本大使
宮川 学
札幌西高等学校の皆さんとの集合写真(令和8年1月9日、日本大使館にて撮影)
ダブリン市内のGuardian Angel教会(令和8年1月1日撮影)
キャサリン・コノリー大統領主催の外交団を招いた新年会にて(令和8年1月撮影)
ツバキ(令和8年1月2日撮影)